「自分の料理店を開こう。」 料理店をひらく動機というのはその店主によって様々ですが、飲食業界での競争は予想以上に激しく、実際にオープンして経営を続けていくとなると、数々の困難を乗り越えなければなりません。そんな中、「本来の素朴なベトナム料理をより多くの日本人に知ってほしい」と開業を決意し、挑戦し続けている難民の方がいます。
サイゴン出身の元難民、南雅和さんが開業を決意したのは建築会社で勤めている時。フォーをはじめ、いまでは日本でも広く親しまれているベトナム料理ですが、「本来の素朴な味は失われている」と南さんはいいます。その「本場の味」を少しでも多くの人に伝えるべく、南さんは建築業での勤務を続けながら開業に向けてベトナム料理の研究を重ねます。その後、勤めていた建築会社を辞め、アルバイトとして飲食業での経験を7年ほど積み、仕入れの方法や経理の知識を身につけます。
彼の長年にわたる努力は実を結び、2010年に大森でベトナム料理店の開店にいたりますが、オープン後震災により大きな損害を受け、経営の存続は厳しくなってしまいました。しかし、オープンしてわずか一年。南さんにはまだまだ多くの人にベトナムの味を届けたいという思いがありました。彼の強い信念の結果、以前からあった出店計画の準備が無事進められ、現在の霞ヶ関のビルの地下にベトナム料理店イエローバンブーがオープンされました。
そんな南さんが営むイエローバンブーでは店内の内装・インテリアから、料理の一品一品にいたるまですべて彼の「本物」へのこだわりがみられます。より多くの人に食べてもらうために心がけているメニュー開発は、特に女性客の心をつかみ、ランチ時には行列を作る日もあるほど。一緒にお店を切り盛りするのは奥さんとベトナム人留学生を含めた従業員数名で、今後売り上げがのびてくればさらに同じ故郷出身の難民や留学生をお店で雇用し、彼らの生活を支えたいといいます。
南さんは1983年にベトナムから難民として来日して以来、自ら奨学金を得て日本の高校・大学に進学し、建築会社で勤務中に志したお店の開業を実現させ、忙しい毎日を送っています。
しかし、最近はビルの工事などの影響で当初より客足が減っており、早急な事業の見直しが求められています。これまで強い信念と並ならぬ努力をもって様々な壁をのりこえてきた南さん。ESPREは彼にぜひこの状況を打破し事業の発展を遂げてほしい、という思いで融資と経営支援を通して応援をしています。
店舗情報
ベトナム料理 イエローバンブー
〒100-0011 東京都千代田区内幸町2-1-1 飯野ビルディング 地下1階
■ 営業時間
Lunch [11:00~14:00]
Tea [14:00~17:00]
Dinner[17:00~22:00]
■ 定休日 日曜日・祝日
■ お問い合わせ・ご予約 03-6206-1461
■ 関連ウェブサイト
- ホームページ
- ぐるなび
- 食べログ
- 【なんみん応援隊:旅するキッチン】Vol.3 イエローバンブー@霞ヶ関 オフィス街の本格派ベトナム料理