ニュースリリース

2012年10月31日

日本初の難民向けマイクロファイナンス機関である公益社団法人難民起業サポートファンド(東京都新宿区 代表理事 石井宏明)は、本日、融資第1号案件として、貿易業を営む難民起業家への融資を実施しました。同起業家は、飲食店経営などの経験を経て中古車輸出を始め、アフリカでの現地拠点を持つに至りました。同社団では、経営者としてのコミットメントとポテンシャルを評価し、融資を決定しました。

今後、同難民起業家への支援を行うとともに、応募があった他の難民起業家へも融資を含めた支援を行えるよう、取り組みを続けて行きます。

1. 融資先について

パキスタン出身の難民。中古車輸出業を経営。本年より、モザンビークに現地拠点を設置し、直接小売販売を開始した。なお、インド料理ケータリングも行っている。

欧州での大学院留学経験も有するが、難民となり来日。来日後はアルバイト勤務を経てインド料理店を経営していたが、景気の影響などから収益が悪化し、ケータリングに転換。その後、中古車輸出を始め、現在に至る。

※  一部「難民起業家」は、「難民」としての事情(本人や家族の安全など)から、個人を特定できる情報を公開できないことがあります。本件起業家においてはそのような事情から、融資先の情報を限定的にのみ公開しております。

2. 融資に至ったプロセス

当起業家は、2012年6月に行った融資先候補募集に応募され、その後、同社団の事務局員と事業計画および財務計画について議論を進めてきました。この議論のプロセスは、単に計画を具体的なものにするだけでなく、難民起業家と同社団との間の信頼関係を醸成することも目的としています。その結果、事務局として、信頼関係も醸成でき、また事業としても融資すべき案件であると判断し、融資審査委員会に審議を依頼、書類での審査と面接審査を経て、融資が決定されました。

3. 今後の取り組み

第1号案件の難民起業家に対しては、今後融資先としての管理を行うと同時に、経営支援先として、引き続き事業展開のための支援(事業計画のブラッシュアップ、人的ネットワークの提供、など)を行っていきます。

その他の応募済みの難民起業家に対しては、引き続き経営支援での関係を続け、相互の信頼関係と事業面での評価を継続的に行い、適切なタイミングで融資可否の判断を行います。

さらに同社団では、今後個々の難民起業家への支援に加え、それらの活躍をもとに、日本に在住する難民の「人財」としての可能性を日本社会に広く伝えて参ります。引き続き、ご注目をお願いします。

 

難民起業サポートファンドについて

公益社団法人難民起業サポートファンドは、難民の起業家に対して融資と経営支援を行う非営利組織です。難民に対するマイクロファイナンスを行う日本で最初の法人として、2012年3月1日に設立されました。難民起業家への融資及び経営支援サービス提供を軸に、難民の経済的自立の支援を通じて、難民のベンチャースピリッツがひいては日本社会に活力をもたらすことを目指している。なお、当社団は、日本国内で難民に対する総合的な支援サービスを提供している認定NPO難民支援協会(東京都新宿区 代表理事 中村義幸)の難民コミュニティへの支援から発案設立されました。

以上